この本を読んでまず考えるのは、新たな発見や研究開発を進めるためには、平常心ではできないという、研究開発に伴う根源的な問題を、今と未来の社会で我々はどう取り扱うのかという課題である。我が国では、禁止用語に近い措置がとられているが、敢えて一度だけ使うことを許して頂けるなら、研究者や開発者集団にある種の“狂気”がなければ、画期的な発見や進展はないのだということである。「ある」と結ぶことに語弊があるとすれば、少なくとも私はそう考えている。
そういう研究開発の時期を、かつては、選ばれた少数の研究者集団や企業が、その特権を利用して乗り切った。しかし、今はそういう特権は存在しないので、研究開発の資金と時間獲得のために世論の支持が必要である。でも、世論は保守的で凡庸であるから、新しい技術を開発したいと言って多数決をとれば、常に否決されてしまうだろう。そのために、この本の主題であるHype(ハイプ)とよばれる“誇張”と“誇大宣伝”が登場する。
"